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【東南アジア】渡航前のワクチン接種で防げる感染症について

世界ではさまざまな感染症が報告されています。感染症の中には発症するとほぼ死に至るとされる恐ろしい病気もあります。しかし、ワクチンを接種することで防ぐことができる感染症も少なくありません。できるだけワクチンを接種して感染のリスクを減らすことが大切です。

今回もラッフルズジャパニーズクリニックの林啓一先生に「ワクチン接種で防げる感染症」について教えていただきました。

日本脳炎

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染した豚から蚊を媒介して人に感染します。高熱、頭痛、嘔吐だけでなく、意識障害、けいれんなどが現れるようになり、重症化すると精神障害・運動障害などの後遺症が残る可能性があるほか、死に至るケースもみられます。発症すると治療薬がないのでとても怖い感染症の一つです。

「日本」脳炎ですが、日本だけでなくアジア全域で見られる病気です。豚が飼育されていて、蚊が発生する地域で発生しています。都市部ではリスクが低いのですが、香港で6歳の女の子の症例も報告されていますので東南アジア全域で注意しておいたほうがいいとされています。ワクチンは生後6カ月から接種可能で、日本の不活化ワクチンは合計4回接種します。積極的勧奨でなかった時期もあるので母子手帳などの記録を確認ください。

狂犬病

狂犬病ウイルスを持った動物の唾液から感染する病気です。犬だけでなく、猫やコウモリなどほ乳類全般から感染する可能性があります。ウイルスを持った動物に噛まれるだけでなく、傷口をなめられた場合なども感染する可能性があります。日本とシンガポールではリスクはありませんが、台湾を含むアジア全域でリスクがあります

発症したらほぼ死亡するというというとても恐ろしい病気です。世界保健機関のワクチン接種方法では0、7、21(28)日で計3回接種します。噛まれた具合によっては、3回接種していても、追加の接種が必要なこともあるので、必ず医療機関を受診してください。噛まれた傷口を吸ったりしてもいけません。

腸チフス

チフス菌が水や食料を介して感染することで発症します。発症すると、発熱、下痢、発疹などの症状が現れます。東南アジアは比較的感染の危険性が高いとされていますが、特に南アジアは他の地域よりも感染のリスクが高いので、この地域へ渡航する予定がある方は特に注意が必要です。生水や火を通していない食べ物を食べないこと、手洗いを欠かさないようにするなど心がけましょう。フルーツもすでに皮が剥いてあるものでなく、できるだけ自分で皮を剥いて食べるようにしましょう。

腸チフスのワクチンは2歳以上から接種可能です。1回の接種で免疫ができ、2年程度抗体が持続するとされています。同じく口から感染するA型肝炎との混合ワクチンもあります。特に飲食店に勤務している人は予防接種をしておくとよいでしょう。

A型肝炎

A型肝炎ウイルスに汚染された生ものや生水などを介して感染します。特に生蠣や加熱不十分な牡蠣フライなどから感染しやすいと言われます。衛生状態がいい日本でも報告されています。感染すると、4週間程度の潜伏期間を果て、発熱や全身のだるさ、嘔吐などが見られ、数日経つと黄疸が見られます。死亡することは少ないとされているものの、1カ月程度の入院を要し、体力が回復するまでにはさらに数カ月を要するとも言われています。

小児が感染した場合は大人よりも軽症ですむとされています。A型肝炎ワクチンは2回接種(日本のものは3回)する必要があります。1歳から接種可能です。A型肝炎とB型肝炎の混合ワクチン(3回接種)もあります。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。輸血、バリアのない性交渉、衛生管理の悪いタトゥーやピアスなどでも感染します。急性肝炎を起こすこともありますが、慢性肝炎から肝硬変、肝がんへ進行することもあります。B型肝炎のワクチン接種は北朝鮮を含む世界180カ国で出生時より定期接種となっています。日本の保育園での集団発生もあるので、生後からの接種を薦めます。

風疹

発熱と発疹、リンパ節の腫れなどが見られる感染症です。風疹ウイルスはせきやくしゃみなどの飛沫によって感染します。大人が感染すると小児よりも重症化すると言われています。また、免疫のない女性が妊娠中に風疹にかかってしまうと、難聴や心疾患など先天性風疹症候群を引き起こすことがあります。先進国では流行していませんが、日本では去年から流行しています。日本に行く機会がある人は風疹の予防接種を受けておくことをおすすめします。1歳からワクチン接種することができ、2回接種した方がいいとされています。

各ワクチンの接種の仕方、接種間隔のあけ方などについては、母子手帳や接種記録とともに、医療機関で直接ご相談ください。

お話をうかがった人

ラッフルズジャパニーズクリニック
医師 林 啓一(はやし けいいち)先生
http://www.rafflesj-clinic.com/

※2013年7月に Healthy Beauty Journal に掲載された記事を加筆・修正しました。


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