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東南アジアのアートと映像「CINERAMA」を日本語解説ツアーで10倍楽しく鑑賞

シンガポール美術館(SAM:Singapore Art Museum)の別館 SAM at 8Q で開催されている「Cinerama : Art and the Moving Image in Southeast Asia」に行ってきました。今回は毎週火〜金曜日の10時半から行われている日本語の作品解説ツアーに参加。展示会の概要と主な作品についてご紹介します。

「CINERAMA」には、10名のアーティストによる映像作品が展示されているのですが、正直、「(現代)アート作品って抽象的で難しい」と感じることはありませんか。そんな方には作品解説ツアーがおすすめです。作品が創作された背景や作品のテーマ、アーティストの表現方法や主張などがわかると作品への興味がどんどん深まっていくはずです。

「CINERAMA」は SAM at 8Q で開催されています

今や誰もがスマートフォンで簡単に写真や動画の撮影ができるようになりました。動画は特別な映像作品やアートから日常の一部となり、個人や集団の生活を記録しています。今回の展示では、

それぞれの作品を通して、映像の歴史、映画の構造、マスメディアやポップカルチャーに対する態度の変遷、そして個人や集団の歴史を辿るといったテーマに迫ります。

では早速行ってみましょう!

Singapore Art Museum の本館は現在改装中のため、展示会は別館の SAM at 8Q で開催されています。本館のすぐそばにあります。

MRT の Bras Basah 駅の出口Aから外に出て徒歩2分のところにあります。

地上に出ると、正面の方向に「CINERAMA」の看板が見えます。

ガラス張りになっている展示室も「CINERAMA」の作品の1つ。

角を右に曲がり、真っ直ぐ突き当たりまで進みます。中に入ると左手奥にチケット売り場があります。

「CINERAMA」は、4階建てのビルの1、3、4階に作品が展示されています。

「CINERAMA」のパンフレットです。中身は全て同じですが、各展示アートを表紙とする複数の種類がありました。並べるととってもおしゃれ。

ドット絵でインドネシアの現代社会を風刺する『Maze Out』

ピクセルアートやドット絵からなるGIFアニメーションの作品です。アーティスト oomleo は、インドネシアの出身。最新で高度な技術を必要とする3DやARの映像が溢れるなか、1980年代のゲームで使われていたシンプルなピクセルアートを「再利用」して新しい作品を作ることに成功しました。

巨大な迷路に迷い込む人々。出口は1つ。

この作品には、インドネシアのステレオタイプの人たちが描かれています。ベルトコンベアーに挟まれる人やテレビの下敷きになる人など、著しい経済発展の一方にある暗い側面を表現しているそうです。

壁のイラストはインタラクティブなアートにもなっています。学芸員の人からこのようなステッカーをもらい、自由に壁に貼ることができます。

ここに貼ってみました。

日本のアニメーション製作からのインスパイア作品

壁に描かれた映写機から映像が投影されているように見えます。上の静止画像からはわかりませんが、ストップモーション、タイムラプス、ハイパーラプス(早送り)といった技法が組み合わされています。

フィリピン人のアーティスト Victor Balanon 氏は、日本のアニメーション制作会社のスタッフとして働いていたことがあるそうです。「無名のアニメーターの労力の結晶である手書きの原画」のようにコマ送りの映像となっています。

故郷への想いが込められたボタンとビーズのストップモーション・アニメーション

インドネシアのバンドン(Bandung)をベースとする、ロックバンドのミュージックビデオです。ボタンとビーズのコマ送りで撮られたストップモーション・アニメーションです。

バンドンの主要産業が衣服の製造業であることに敬意を捧げて、ボタンとビーズが使われています。

過去のシンガポールの「見えそうで見えない」を表現

シンガポールのアーティスト Jeremy Sharma 氏による作品です。映像はぼやけたライトボックスを通して映し出されているため、ハッキリとした輪郭がわかりません。

元の映像は昔のシンガポールが舞台になっていて、そこに登場する風景や建物はもう存在していません。移り変わりの激しいシンガポールの「見たくても見えない、思い出したくても思い出せない」。そんな想いを表現した作品です。

弾丸と弾丸のぶつかり合いを超スローモーションで再生

左右から同時に発射された弾丸が衝突する軌跡を2万分の1秒のスローモーションで再生。上下左右に伸縮するジェルの動きは、まるで人間の肉体に弾が貫通しているかのようでもあります。

冷戦時代のアメリカの弾丸(M16)とソビエト連邦の弾丸(AK-47)がぶつかり合う様子は、相反する2つのモノの衝突や衝撃を表現しています。

隣の部屋では、ハリウッド映画やニュースから2つの銃が使用されているシーンをつなぎ合わせた映像を見ることができます。

まるで映画のセットの中に置かれた5つのスクリーン

シンガポール人のアーティスト Ming Wong 氏による『Making Chinatown』は、映画界の巨匠ロマン・ポランスキー監督が1974年に製作した映画『Chinatown』を再解釈して作られました。Wong 氏は、この中で複数の主要人物を演じています。

5つのスクリーンが映像の中のシーンと一致したパネルの中に設置され、まるで本物の映画のセットの中にいるような感覚を味わえます。

かすかな動きに生活のぬくもりを感じる 、絵画のような映像作品

『Falim House: Observasions』は、10個のスクリーンで1つの作品となっています。20世紀の初頭にマレーシアのイポーに建設された、旧名家「Falim House」の室内と周辺を記録した映像作品です。

一見静止画のように見えるのですが、風が吹いたり、人の影が動いたり。そこにある生活を想像しながら10個のスクリーンを見終えるまでにストーリーが完成されるでしょう。

ひたすらスキャンを繰り返す「儀式」の意味とは

約40分間、固定されたカメラから250通の手紙をひたすらスキャンする様子が記録されています。

カンボジア出身のアーティスト Amy Lee Sanford 氏による作品『Scanning』でスキャンされているのは、幼いころにカンボジアの内紛に巻き込まれ、離れ離れになった父親からの手紙なのです。彼女が成長してから見つかった手紙。淡々とした作業のなかに父親の深い愛と親子の絆が感じられます。

デジタルに依存した我々の世界の行く先は

今の時代、いかなるシーンもスマートフォンのカメラで撮影され、クラウドサーバーに保存されています。この作品では、デジタルに依存した我々の行き先、データが消滅しネズミのような生き物が動き回る未来の予想図が描かれています。

一方で、アーティストの兄弟の結婚式やそのプロポーズの様子を撮影した映像も流れます。実生活の記録が、あたかもドラマや映画のように編集されています。1つの作品の中に色々なものが混ざっている混沌とした映像は、アーティストの出身地であるタイを想起させるそうです。

大きなクッションが置いてあり、ゆっくりと座って映像を見ることができます。

ガイドツアーで一通り作品を巡ったあとに、お気に入りの作品に戻ってじっくりと鑑賞することをおすすめします。映像作品は、短いもので3分〜5分、長いものは30分〜40分あります。

CINERAMA 開催概要

会場:シンガポール美術館(Singapore Art Museum)別館 「SAM at 8Q」

住所:8 Queen Street, Singapore 188535

期間:2017年11月17日 ~ 2018年3月25日(※延長となりました)

開館時間:10時〜19時(金曜日以外)、10時〜21時(金曜日)

入場料:大人 6ドル、学生・シニア(60歳以上)3ドル、6歳未満の子ども 無料、PR保持者 無料

※金曜日 18時以降は無料で入場できます。

日本語ツアー:火・水・木・金曜日の10時半から

Webサイト:https://www.singaporeartmuseum.sg/

シンガポール美術館 SAM at 8Q への行き方

MRT 最寄り駅:
Bras Basah 駅 徒歩2分
Bugis 駅、Dhoby Ghaut 駅、City Hall 駅 徒歩10分


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