デング熱
Life Style

デング熱がアジアで大流行。一番の予防法は蚊に刺されないこと

シンガポールにいらっしゃる日本人の方にとっては、日本とは異なる気候で体調を崩すこともありますし、日本ではほとんど知られていない熱帯特有の病気にかかる可能性もあり、日本にいるとき以上にご家族の健康に気を配っているという方も多いでしょう。今回は、ラッフルズジャパニーズクリニックの林啓一先生に流行している「デング熱」について教えていただきました。

※2013年7月に Healthy Beauty Journal に掲載された記事を加筆・修正しました。

今年(2013年)のデング熱流行の状況は?

今年は2007年以来の大流行で感染者は現在1万人を超えており、去年の7倍の感染者数を記録しています。お亡くなりになった方も3名いらっしゃいます。在星日本人の中にもデング熱に感染したという方が来院されています。

「デング熱」の原因は?

デング熱はデングウイルスを媒介するエーデス蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されることで感染します。潜伏期間は4〜7日です。熱帯地方特有の病気ですが、実は昔西日本でも流行したことがあります。同じように蚊を媒介として感染する「マラリア」の場合は、マラリア原虫を媒介するハマダラ蚊は夜行性なので、夜や朝方のみ注意しておけば問題ないのですが、ネッタイシマカ蚊の場合は日中も活動しますし、シンガポールのような都市部でも発生します。

「デング熱」の症状とは?

エーデス蚊に刺されたからといって必ず症状が現れるわけではありません。「不顕性感染」といって罹患していても発症しないという方も多く、後々血液検査をしてみてはじめて「実は過去にデング熱に感染していた」と分かる場合もあります。

デング熱の症状として現れるのはまず「身体の痛み」と「高熱」です。高熱は4〜5日程度でだいたいおさまりますが、実は熱が下がったあとの「倦怠感」が最も辛いのです。例えば、ひどい肝機能障害が出ている場合は完治までに時間がかかります。また、血小板が減少するという症状が出て血が止まりにくくなることもあるため、入院を要する場合もあります。なお、デング熱は感染症ですが、人から人へ感染する病気ではありません

「デング熱」の予防法は?

「蚊に刺されないこと」が一番の予防です。DEET(ディート)という虫除け成分の濃度が濃い虫除けを使うのがオススメです。外出する際には肌の露出を抑えてなるべく袖の長いものや長いズボン・スカートなどを着用するというのも予防になります。

実は、デング熱に感染した患者さんに「蚊にさされましたか?」と聞くと蚊に刺されたこと自体気づいていないという人が多いんです。特にホーカーセンターや屋外テラスなどで食事をするときやバス停で待っている間など、思いがけない場所で蚊に刺されることもあります。また、デング熱はシンガポール国内だけではなく、近隣の東南アジア諸国やアフリカなど熱帯・亜熱帯地域でも感染します。実際に国外出張から戻ってきたらデング熱に感染していたという患者さんもいらっしゃいますので、国外へ出張・旅行される際にも注意が必要です。

国内ではNational Environment Agency(NEA)がデング熱対策としてエーデス蚊の発生を防ぐためのキャンペーンを行っています。また、ウェブサイト「X-DENGUE」やスマートフォンアプリ「my NEA」を通じて、国内でどのエリアで集中的にデング熱の感染があるか(ホットスポット)が分かるので、随時チェックしておくことをおすすめします。

「デング熱に感染したかも?」と思ったときは…

「蚊に刺された!」と気づいてデング熱が心配になる方は1週間の間で高熱や身体の痛みなど、何らかの症状が出なければ特に問題ないでしょう。

高熱が出た場合は、風邪なのか、インフルエンザなのか、デング熱なのかを判別する必要があります。咳(せき)や鼻水が出るといった症状がある場合は風邪ですが、無い場合はデング熱の疑いもあります。

デング熱は上記でも紹介した通り「血小板減少」を引き起こす可能性があります。デング熱の可能性がある場合は、血小板の効果が落ちるといわれる「アスピリン」「ロキソニン」といった解熱剤ではなく、子どもでも使える「パナドール・パラセタモール」を使った方がいいでしょう。

いずれにせよすべて自己判断するよりも症状が出たらできるだけ早めに病院で受診することをおすすめします。

お話をうかがった人

ラッフルズジャパニーズクリニック
医師 林 啓一(はやし けいいち)先生
http://www.rafflesj-clinic.com/

編集部追記

2017年の1月に、マレーシア国内で30代の日本人女性がデング熱で死亡したと、在マレーシア日本大使館より発表がありました。熱が下がってからも1〜2週間は安静にしていることが重要です。適切な治療を受けずに悪化すると、死亡率が高まります。本記事を参考に、十分な予防措置をとり、感染の疑いがあるときには早期に医療機関を受診しましょう。

シンガポール国家環境庁(NEA)によると、2016年のデング熱の発生件数は1万3115件であり、NEAの立ち入り調査では1万6000件の繁殖が発見され、約3900世帯に罰金が科されました。また、60以上の建設現場に作業停止の命令が出されました。

参考記事:Number of dengue cases may surge this year: NEA (The Strait Times)


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